2020年8月29日土曜日

【file1. 音楽は第一に自分が楽しむ!】~プロsax奏者 前田妙子さん

 

滋賀県出身、プロsax奏者前田妙子(まえだ・たえこ)さん。

保育園生ごろにエレクトーンをはじめ、今やsax(サックス)人生の真っ最中。

エレクトーンも水泳も楽しんでいた活発な女の子が、小学校でTP(トランペット)を吹きはじめ、中学校の時にはじめてsaxを担当。

「カッコいいなぁ!」と憧れていたsaxで中学・高校時代を過ごし、音楽大学を経てプロ進出。

「ミ・べモル サクソフォンアンサンブル」のメンバーとして華麗に国内外で演奏活動後、沖縄に移住。

「YAMHAミュージックレッスン」(那覇市)など各sax講師のほか、ご主人が経営する「Live Music Bar SOUND M'S」でスタッフとして勤務。

「OJA JAZZ ORCHESTRA」「真栄里英樹BIG BAND」「YKシンギンオーケストラ」在籍。

現在、ミュージシャンと講師と2児の母として生きる前田さん。

音楽と出会った幼少期から今までの音楽人生を振り返ります。

Q音楽をはじめた頃の話をきかせてください。

保育園生ごろからエレクトーンをはじめましたが、母親が幼稚園の先生だったので、その影響もあるかもしれません。
そのころは、YAMAHAでエレクトーンを習い、水泳にも通い、という生活を送っていましたね。エレクトーンアンサンブルの関西大会に出場したことを今でも覚えています。
1人で弾くより皆で弾くのが楽しかったです。

エレクトーンも水泳も中学生くらいまで続けていましたが、エレクトーンは、いつもサボることしか考えていませんでした(笑)。


(前列左端)小学校5年生時の前田さん。


Qサックスをはじめたきっかけは?
三雲小学校4~5年生のころ、金管バンド部でTPを吹いていたんです。
でも、6年生になってすぐ「家庭クラブ」にも入ったりして。
祖母が編み物が上手だったので、課題の大半は祖母がやってくれました(笑)。

甲西中学校では吹奏楽部に入部し、saxを担当しました。
saxを選んだのは、友達がフルートやクラリネットを吹きたがっていたので、彼らと争いたくなかったから(笑)。
でもテナーsaxのことは「カッコいい楽器だなぁ」と思っていました。


小学校でTPを吹いていたのでTPも勧められましたが、何か他の楽器もやりたくて、saxにしました。中学校では、しっかり3年間まじめにがんばりました。

甲西中学校吹奏楽部は、部員は40名ぐらい。コンクール等で目覚ましい成果はあげられませんでしたが、小学校での金管アンサンブルとはまた違って、皆で切磋琢磨にsaxアンサンブルをやったのが、とても楽しかったです。


Qじゃぁ、高校もそのままsaxに熱中?
いえ、甲西高等学校に入学したときは、吹奏楽部に入るのは迷いました。
120名の大所帯バンドだったし、マーチングをやっていたので、体を動かすのがどうも苦手だった。水(水泳)はいいけど、陸は・・(苦笑)。

結局入部しましたが(笑)、今度は楽器が足りなくて。
1年生の夏に、今でも使っているテナーsaxを親に買ってもらいました。

各楽器パートにトレーナーがいまいたが、私はそれにプラスして2年生ごろから自主的にレッスンに通いました。先生は、プロsax奏者の由本明子先生。
足繁くレッスンに通っているうち、先生から音大をすすめられたので、2年生の後半から音大に行くためのレッスン通いをはじめました。

当時、県内でまともにマーチングをやっていた高校は甲西高校ぐらい。人気な吹奏楽部だったので、定期演奏会(以下、定演)をすると、すぐにチケット完売。
定演を見た人から、コンクール会場で声をかけられるようになり、嬉しかった~。

3年生にあがったらコンサートミストレスを担当し、何かの演奏会で「イン・ザ・ムード」のソロを演奏したら、ゲストだったジョージ川口さん(プロドラマー)に「音楽続けなさいよ~」と声をかけられたのを、今でも覚えています。



Q音大を意識していた高校3年生の頃といえば?
音大の入試対策ばっかりでしたねぇ。
音大の入試はアルトサックスのみだったので、アルトサックスを親に買ってもらい、高校3年生の途中から、由本先生に紹介された前田昌宏先生のもとで必死に音大対策。
最初のレッスンで、いつも自分がやっていたスケール練習を吹いたら「なぜそのテンポでやってる?」と怒られました(笑)。
自分では吹けていたつもりが、全然だった。レッスンでは、知らないことがおおすぎてビックリの連続でした。刺激的な時間でしたね。

また、高校3年生の終わりに、滋賀県代表として、姉妹都市の米国ミシガン州に演奏に行きました。海外に行ったのは、あれがはじめて。
高校生を集めたバンドだったのですが、ミシガン州での演奏~USJ~ディズニーという夢の体験をさせてもらいました。

アメリカでの宿泊はホームステイでしたね。
私はチェリーコーク(コーラのチェリー味)が苦手だったのですが、なぜか私の好物と思われて、毎日激甘なチェリーコークが出てきた。こっそり流して捨ててましたけど(笑)。

Q本格的な音楽活動はいつから?
高校卒業後、大阪音楽大学の器楽専攻に進みました。
ここでも前田先生のもとで学ぶことになったのですが、先生の勧めで、先生自身が主宰されている「ミ・べモルサクソフォンアンサンブル」(以下、ミ・べモル)に最年少で入団しました。

メンバーは前田先生率いる18人。私は最年少だったので、みんなが先生みたいな感じでした。好奇心旺盛なメンバーばかりでしたよ。
在学中含め、スペイン、タイ、カナダなどに演奏旅行に行ったのですが、全てミ・べモルのソロコンサート。どこの国や地域に行ってもいっぱいのお客様が来てくれたので、本当嬉しかった。

海外移動中は、修道院に泊まったり、ホームステイしたり。国によって違う景色が美しかった。メープルの葉も空気も全てがキレイでした。
日本とは湿度が違っている知らないところで吹いたり、残響や隣の人の音を聞く感じが違ったり。もう全てが楽しくて、毎日が修行な感じでした。

Q沖縄に来たのはいつ?きっかけは?
2006年に妹と一緒に沖縄に移住しました。30歳になった節目でした。
今まで、滋賀県を拠点に京都や大阪などで演奏活動や講師の仕事をしていたのですが、この移動する体力も心も追いつかなくなって、音楽以外の別のことをしたくて、沖縄に来ました。

沖縄を選んだのは、私は海がないところで育っているので、海があるところに来たかったから。「癒やされたかった」という思いもあります。
移住以前も旅行で沖縄に来ていたので、沖縄の魅力にひかれて、ふらっと沖縄に来た感じ。


Q沖縄でのsax人生はどうやってはじまったのか?
私が以前に所属していた「ミ・べモル」は、sax界では有名なグループだったんです。
だから、沖縄に移住してまだ間もないころ、「沖縄にミ・べモルの人がいる!」と、ミ・べモルのファンが私のレッスンを受けに来てくれて。

私のほうはといえば、沖縄は全く右も左も知らない土地。レッスンの相場がわからなくて、沖縄のプロsax奏者さんにコンタクトをとって色々教えてもらったり、ドキドキあわあわ。

またYAMAHAのsax講師の赤嶺さん、ジャズTP奏者・新崎純さん、ジャズTP奏者・照屋唯七さんがいろいろと繋げてくださって、現在の「スーパーホーンカーズ」や「OJAジャズオーケストラ(沖縄JAZZ協会)」で演奏する機会に恵まれました。

現在はYAMAHAのsax講師をつとめ、「OJAジャズオーケストラ」、「真栄里英樹BIG BAND」「YKシンギンオーケストラ」に在籍しています。

前田さんの相棒、柴田学さん。
演奏活動のなかで、バー「パピヨン」で働いていた柴田さんと知り合い、結婚。現在、柴田さんが経営する「Live Music Bar SOUND M'S」(以下、SOUND M'S)のスタッフとして、前田さんもほぼ毎日お店を手伝います。

2人の愛息子、長男・リュウノスケくん(小3)、次男・コタロウくん(小1)。
パパと一緒に SOUND M'SのオリジナルTシャツを着用♪

Q子育ての音楽への影響はありますか?
子育てが音楽に生かされているかはわかりませんが、生かされていたら良いなぁと思います。息子たちが小学校入学前は、PTA代表として、よく幼稚園やこども園で演奏しました。
息子は2人とも恥ずかしがり屋ですが、その時ばかりは、皆に注目されるのも気にならない様子でしたね。親を少しは自慢に思ってくれていたかなぁ~(笑)。


Q子育てと音楽の両立の秘訣は?
レッスン、演奏、リハーサルはほとんど夜。私の場合、息子たちの離乳食がはじまる前から夜間保育に預けていました。長男が幼稚園に通うころから、私の妹に本格的にベビーシッターとしてお願いしていました。私が安心して音楽の仕事ができるのは、妹のおかげです。
本当に助かっています。


Qいつもsaxを吹くときに大切にしていること
聴きに来てくれるお客様をよく見て、考えています。過剰にお客様を楽しませないように心がけています。自然体が一番。でも何より、自分が楽しむようにしています。

SOUND M'Sの店内

幼少期のエレクトーンからはじまった前田さんの音楽人生。
「沖縄で音楽はやらないつもりだったけど、いつのまにか音楽に戻された。
やっぱり私は音楽が好きなんでしょうね」と、優しく微笑みます。



〈前田さんに会える場所〉
Live Music Bar SOUND M'S
沖縄県那覇市久茂地3-29-68
久茂地産業ビル3F
営業時間:21:00~25:00(ライブは20:00or21:00startが多め)
休日:不定休
電話:090-1067-8055